中山将の雑文と詩

シンガーソングライターです。妻と息子2人と暮らしてます。詩を書きます。絵も描きます。音楽も作ります。

クジラはどこにいる 壱

二千十四年 十月

私は町内放送を聴いていた

潮の匂い

金木犀の匂い

秋めいたこの町の匂いは私の心を落ち着かせる

湯船につかるあの三秒間みたいな

 

ふと思い出したことがある

幼い頃

兄と手をつないで歩いた堤防

今日と同じような秋の日に

私と兄は突然に

クジラ

を見た

 

 

大きさはうまく言えないのだが

とにかく大きくて

コンビニエンスストア

くらいの大きさというべきか

 

私はクジラと目が合った

そこには 喜びも 怒りも 悲しみも 無い様に見えた

幼いながらに思ったこと

 

ああ、クジラも私も同じなんだな

 

漠然とそう思ったのだ

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