中山将の雑文と詩

シンガーソングライターです。妻と息子2人と暮らしてます。詩を書きます。絵も描きます。音楽も作ります。

オーロラを見に行こう

ある朝君は僕に向かって言った

「オーロラが見たい。オーロラを見に行きたい」って
僕はあきれて笑ってコーヒーを飲んでいた
だけれども君は真剣な眼差しで

「私本気よ」って

「一度だけで良いから見たいって」

訴えたその目は少し潤んでいた
そのとき僕は気付く

今まで君が語る言葉を

ちゃんと心で聴いていたのかな?
僕は君に告げる

「オーロラを見に行こう」

たくさんの不安と

少しのお金を持って
本当に見えるかは何の根拠も無いけれど

大丈夫ゆっくり探して行こうね
電車はカタコト揺れて北の街へ着く

僕らの住んでいた街を

遥か後にして

君の凍える小さなその手を握った
思えば僕が持った夢や希望なんて

いつも簡単に消えていた

だけど
君は違った
君は脇目も振らずに空を見上げて歩いた

今は見えないものをいつか見ようとしていた
そのとき僕は思った

「馬鹿だったのは僕のほうか・・」

目を閉じて

神様の光を待った
「ねえ空を見上げてみて」

君の声が震えていた

僕は息を呑んで空を見上げた
夜空のフロアー一面に

神様の光が

嘘みたいに優しく踊っていたんだ
僕は君を抱きしめた

涙が止まらなかった
オーロラは僕たちの人生を包んだ

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