中山将の雑文と詩

シンガーソングライターです。妻と息子2人と暮らしてます。詩を書きます。絵も描きます。音楽も作ります。

映画館

あの頃、君と二人でよく通っていた古い映画館 
僕は約束の時間 約束の場所にやってきている
ボロイスクリーンも埃をかぶっているシートも全部そのまま 
懐かしく思った きらりと蘇る
それは5年前、僕ら毎日のように映画館へ来て
夢中で古い映画を見ては熱く語り合ったな
「いつかグリフィス監督だって超えるさ。」って笑った
そんな時間が何より大事だった

ポッケット手を突っ込んで 街路樹を見つめながら
気付いてしまった 確かな気持ちに
果敢ない引力にひかれ 筋書きはそっと変わった
眠れない夜も 目覚めたすぐ後も 思った 

だけど何かが壊れてしまうことがすごく怖くて
馬鹿な僕は 逃げるようにして君と距離を置いた
そして冬が過ぎて、友人からの噂で聞いた
君は夢を追って
フランスに行くらしい

そんな時 一通のメールが来たんだ 送信者は君 慌てて携帯の画面を見つめる
「いつも二人で行ったあの映画館、今夜あそこで待ってるわ。」

映画はそうして終わっていく 結末も想い出せないけど
君は泣いていた 僕も泣いていた 
スクリーンをみつめて
「5年後、必ず会いましょう。この場所で、この映画館で。」
そして新しいフィルムは回りだす
さよなら


ただいま
おかえり

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